Episodes

  • EP. 609『@奈良 、其ノ四 - 春、山、笑うが如し、ブロッコリー』
    Apr 23 2026

    今年の春のお彼岸は3月20日、最近は春分の日という言い方が一般的ですが、奈良ではやはりお彼岸という言葉に特別な意味を感じます。奈良七大寺に代表されるように、古くから仏教の教えが息づく土地で、「彼岸へ向かう」という感覚が自然とあります。「山笑う」という季語の通り、若草山もにっこり微笑むような春の表情でした。 そんな中いただいたのが、和牛のステーキにブロッコリーとわさびのピュレ、さらに奈良のお味噌や醤油にマルサラ酒を合わせたソース。実はブロッコリー、2026年4月から国の指定野菜になりましたが、一番おいしいのは冬の終わりから春先。寒さの中で育ったものは旨みがぎゅっと詰まっています。マルサラ酒はイタリア・シチリアの酒精強化ワインで、コクのある甘みが特徴。お肉にもよく合います。 奈良はシルクロードの東の終点とも言われ、正倉院にはペルシャや中国の影響を受けた品が残っています。今回訪れた「シルクロード」という名のレストランでも、そんな歴史のつながりを感じる味に出会えました。

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    9 mins
  • EP. 608『@奈良 、其ノ三 - 奈良で頂くしらす丼』
    Apr 22 2026

    ホテルで窓から景色を見ていると、部屋に案内してくれた若い男性が、一山向こうが和歌山、

    そして三重にも近いことを教えてくれました。ホテルの近くの日本料理の店に行ったら、隣の和歌山にも近いということを感じさせてくれる、驚きのものを食べさせてくれました。和歌山の磯間港でとれた「しらす」をのせた「しらす丼」です。伝統の小曳網漁(こびきあみりょう)で傷つけないように取られた磯間のしらすは「飲めるしらす」と表現できるほどです。奈良県葛城市で収穫したお米にたっぷりのしらす。そしておいしいたまごの黄身。「奈良にうまいものなし」と言ったのは志賀直哉でしたが、とんでもない。おいしいものがたくさんあります。

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    9 mins
  • EP. 607『@奈良 、其ノ二 - 奈良野菜マナ、にお月様』
    Apr 21 2026

    奈良で泊まりたかったところに泊まってきました。奈良市役所の目の前、1300年ほど前、奈良時代に長屋王が住んでいたところです。本来なら天皇になっていたかもしれない方です。なんだかその場所に立つと急に身近に感じられました。そこで、長屋王と同時代に生きた阿倍仲麻呂も思い出しました。遣唐使として長安へ渡り、望郷の念を抱えたまま異国の地でなくなった仲麻呂。「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」仲麻呂の故郷・奈良を想って詠んだ歌も声に出してみました。

    そして彼らが食べたであろうものを食べました。奈良の「マナ」という野菜です。時を超えて1300年の昔を感じること。自分の原点を感じることができます。仲麻呂が観た月を観るように、奈良を訪れるのは満月の時がいいかもしれません。

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    9 mins
  • EP. 606『@奈良 、其ノ一 - 行法味噌、奈良、お水取り』
    Apr 20 2026

    奈良を訪ねて、春を呼ぶ行事・お水取りと、その背景にある食のかたちを見てきました。ちょうど時期が重なり、奈良国立博物館での特別展も訪問。東大寺二月堂のお水取りは、人々の無事や再生を祈る大切な行事です。博物館の展示の中で特に印象的だったのが、僧侶たちの食事の献立です。江戸時代の資料なんですが、今もほとんど変わらず、とても質素。ご飯に味噌汁、少しの煮物。でもそのシンプルさが、二週間の厳しい修行を支えているんだと感じました。余計なものを削ぎ落として、体と心を整える――その食そのものが修行なんですね。実際にその行法味噌もいただいたんですが、派手さはないのに、じんわり体に染みてくる味。まるで心に小さな火を灯すようでした。奈良の食も、祈りを静かに支えているんだと思います。

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    9 mins
  • EP. 605『@浜松・掛川 、其ノ四 - 食用ホオズキ、おいしー!』
    Apr 16 2026

    浜松で出会ったのは、食用のほうずき。口に含むと、蜂蜜と塩が溶け合ったような、まるでマンゴーのような甘さが広がります。もともと薬として用いられてきたほうずきは、近年、浜松を中心に食材として新たな価値を見出されています。日照時間の長い土地と、料理人の工夫によって、熟成させた実を丁寧に仕立てることで、まったく新しい味覚が生まれました。薬から食へ。ほうずきは、自由な発想によって新しい価値を得ました。

    浜松の風の中で生まれた一粒には、 “おいしさの可能性”が詰まっています。

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    9 mins
  • EP. 604『@浜松・掛川 、其ノ三 - 御茶さえみどり』
    Apr 15 2026

    夏も近づく八十八夜。今年は5月2日です。この頃になると、鮮やかな黄緑の新芽が芽吹き、それる摘み取る茶摘みが茶どころ掛川でも始まります。掛川のお茶で最も有名なのは「やぶきた」という品種。明治41年、在来種の一部に、おいしいお茶があることを発見した茶農家の杉山彦三郎に名付けられました。「やぶの北に生えていたから」というのが理由でした。掛川では「茶草場農法」という伝統的な農法で作られ、希少な生物の隠れ家としても機能しています。中でも「さえみどり」は新芽の香りが際立つ品種で、「天葉(あまね)」というブランドで管理されています。美味しい和食や和菓子の後に、また慌ただしい日常の中で、掛川のお茶をいただくと心が落ち着くのではないでしょうか。

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    9 mins
  • EP. 603『@浜松・掛川 、其ノ二 - ふぐ、遠州灘』
    Apr 14 2026

    浜松でも希少でめったに食べられないものを2つ食べることができました。

    ひとつは浜松の南側に広がる遠州灘の「ふぐ」。全国有数の天然のふぐの産地と言われますが、「延縄漁(はえなわりょう)」で1尾ずつ丁寧に釣り上げられるふぐは、傷がついていず、旨味も損なわれていません。その白子のふわふわした味わいは絶品でした。そしてもうひとつ、こちらは本当に希少な「浜根トリュフ」というきのこ。海岸の松林に生えていると言います。パチンコ玉くらいの小さいトリュフで、昔は「干松露(ほししょうろ)」言われ地元ではお馴染みだったものですが、今ではすっかり見かけなくなった「幻のきのこ」と言われています。こうした「行ってみないと食べられないもの」というのは、やっぱりすごいなと思います。

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    9 mins
  • EP. 602『@浜松・掛川 、其ノ一 - うなぎ、浜松、ぶどう山椒』
    Apr 13 2026

    月曜日はやっぱり浜松名物、うなぎです。浜名湖のうなぎって有名ですよね。で、うなぎって“ふかふか派”か“カリカリ派”かで好みが分かれるんですが、浜松あたりはちょうどその境目。お店によって焼き方が違うのも楽しみなんです。今回入ったお店はカリッカリの地焼き。そこに浜松・春野町の“ぶどう山椒”をかけると、柑橘っぽい爽やかな香りがふわっと広がって、これがまた絶品。さらに浜名湖産のハマグリのお吸い物や、自家製のなら漬けも付いてきて、これもまた美味しいんです。浜松にはうなぎ屋さんが100軒以上あるとも言われていて、食べ比べも楽しみのひとつ。実は浜名湖は日本最大の汽水湖で、ここでうなぎの養殖が始まったのが明治時代。そんな歴史ある場所で味わう「うなぎ」は、また格別なんですよ。

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    9 mins