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強弱材料入り混じるデータを受け、FRBは次にどう動くか

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7月の雇用統計とCPIが強弱材料が混在する内容だったことを踏まえ、市場はすでにFRBの利下げを織り込み済みです。グローバルエコノミストのアルニマ・シンハーが、利下げに向けたハードルが上がったという弊社の基本ケースを維持する理由について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日はグローバルエコノミストのアルニマ・シンハーが、7月のCPI発表後のFRBの政策路線や、他の中央銀行に与えるより広範囲な影響について弊社の見解をお話します。このエピソードは8月20日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。弊社の基本ケースは、FRBが年内、政策金利を据え置くというもので、先週発表されたCPIはこの見解を変えるものではありませんでした。以前指摘したように、関税措置の実施の遅れに伴い、平均の関税率はなおも上昇しているため、物価への累積的な影響はさらに遅れる可能性があります。CPI統計では、アパレルと自動車を除き、関税の影響を受けやすい財の価格は7月も上昇しました。予想外だったのはサービス部門で、今年の大半においてデフレ傾向だった航空運賃やホテル料金が上昇したことが主因となり、サービス価格の上昇が再び加速しました。関税の影響で夏の間にインフレが加速するという弊社の見解に反する要点の中には、サービス部門のディスインフレが相殺する可能性があるとの見方もありました。しかし、今回の発表で明らかになったように、その可能性はなさそうです。サービスインフレは今後も減速すると予想していますが、2025年前半に見られたサービス部門のディスインフレは、基調の弱さや値動きの激しさによって誇張されていたと考えており、コアCPIとコアPCEの上昇率はいずれもまだ去年 昨年とほぼ同じ水準で推移しています。 このため、夏の間に関税の影響で財のインフレがさらに加速することで、インフレ率はFRBの目標を大幅に上回る水準にとどまるでしょう。7月の雇用統計とCPIの発表を受け、9月の金利据え置きに向けたバードルが上がったのは明らかです。では、弊社の基本シナリオに対するリスクは何でしょうか。 9月の会合までの間にデータに対するFRBの金融政策反応関数がどう展開するか、というポイントに立ち返ります。8月の雇用統計が重要となるでしょう。雇用者数の伸びが前月比で加速し、失業率が4.2%から4.3%前後になるなど、雇用統計が堅調な内容であれば、FRBは5月と6月の雇用統計の弱さについて、相互関税導入が発表された「解放の日」以降の不確実性が減速の原因であり、基本的な傾向を表すものではないとしておそらく目をつぶるでしょう。しかし、雇用ペースが大幅に鈍化すれば、FRBは労働市場は予想していたよりもはるかに弱いと判断し、緩和を再開する可能性があります。リスク管理の観点から利下げを行う可能性もあります。ただ現時点では、JOLTSと呼ばれる求人労働異動調査や新規失業保険申請件数などの、他の雇用市場指標では雇用の大幅減速は示されていません。インフレ率が目標をはるかに上回る水準で推移していても、FRBは7月の雇用統計を、労働市場へのダウンサイドリスクを示す明らかな兆候と捉え、緩和サイクルを開始する可能性があります。FRB関係者らのメッセージはこれまでのところまちまちで、雇用統計を警鐘と受け止める関係者もいれば、失業率はなおも低いとしてそれほど懸念を示さない関係者もいます。米国外では、各国中銀の政策軌道は引き続きFRBの道筋や、刻々と変わる米国の成長見通しに密接に結びついています。先般の雇用市場データは、ECBと日銀についての弊社シナリオにダウンサイドリスクをもたらしました。欧州では、ユーロ高が続き、米国のリセッションリスクが高まれば、弊社の欧州担当エコノミストは、9月の緩和路線を予想する基本ケースに対するリスクが減少...
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