107 伝え方の多様性が、聞き手との距離を縮める cover art

107 伝え方の多様性が、聞き手との距離を縮める

107 伝え方の多様性が、聞き手との距離を縮める

Listen for free

View show details

About this listen

プレゼンテーションをしていて、「あれ、いま自分の話、ちょっと単調だったかな」と感じたことはありませんか? あるいは、しっかり準備して話しているはずなのに、聴衆の反応が今ひとつ…と感じる場面。実はそれ、内容の問題ではなく、「伝え方」に変化がないことが原因かもしれません。 人は、ずっと同じトーンやテンポで話をされると、次第に内容が耳に入らなくなってしまうものです。どれだけ良い話でも、“一本調子”だと伝わりにくい。 だからこそ、声の抑揚や間の使い方、ジェスチャーなど、表現の「強弱」を意識することが大切です。 以前、あるイベントで2人のプレゼンターの発表を連続して見る機会がありました。 最初の方は、エネルギー全開。登場した瞬間から会場を巻き込み、力強い声とダイナミックな動きで、まさに全力投球のプレゼンでした。その熱意は素晴らしく、強い印象を残しました。 そして次に登壇したのは、まったくタイプの異なる方でした。声は穏やかで、テンポもゆったり。はじめは、「もう少し大きな声で話したらさらに伝わりやすいのではないかな?」と感じたのですが、話が進むにつれて、その言葉が聴衆の心にしっかり届いているのがわかりました。 一方的に「話す」のではなく、まるで目の前の一人ひとりに「語りかけている」ような雰囲気。そこには、明らかに「対話」が生まれていたのです。 この2人のプレゼンを見て、私は実感しました。 どちらのスタイルにも、それぞれの力がある。 そして思ったのです。 もしこの2つの良さをうまく組み合わせることができたら、さらに心に届くプレゼンになるのではないか。 情熱を持ってしっかりと伝える力と、静かに語りかけるように届けるやさしさ。 その両方を使い分けられるようになると、プレゼンは「情報提供」ではなく「体験」へと変わります。 プレゼンでは、自分の「得意なスタイル」に偏ってしまいがちです。でも、聴衆は一様ではありません。 力強い話し方に心を動かされる人もいれば、静かな語り口でじっくり伝えてほしい人もいます。 だからこそ、プレゼンには「変化」や「幅」が必要なのです。 声のトーンに緩急をつけたり、スピードを調整したり、間を取ったりすることで、メッセージはより深く、効果的に届きます。 多くの人がスライドの準備には時間をかけますが、「どう話すか」の準備には意外と時間をとりません。 プレゼンをより効果的に行うためには、次の要素を意識してみましょう: 1 声のトーンをどこで上げるか、どこで落とすかを計画する 2 表情やボディランゲージに意識を向ける 3 ストーリーの流れに合わせて、テンポや雰囲気に変化をつける 4 スピーチを4~5分ごとのブロックに分け、各パートに合った表現方法を検討する 5 そして何より、練習あるのみ! 切り替えのタイミングを体に覚えさせることで、本番でも自然に表現できるようになります。 最後に、私が常々クライアントのプレゼンをコーチングをする際に大切にしていることは、「自分らしいプレゼンをしていただくこと」です。 どんなに表現を工夫しても、作ったような話し方では聴衆の心には届きません。上手に演じるのではなく、裏表のない、誠実な自分自身の言葉で語ること。それこそが、プレゼンにおける最高の「おもてなし」だと思うのです。 裏表がないから、オモテナシなのです。 ですから皆さん、自分の個性や想いを大切にしながら、伝え方に変化と工夫を加えましょう。 そうすれば、聴衆にとっても、自分にとっても、心地よいオモテナシのプレゼンテーションが生まれます。
No reviews yet
In the spirit of reconciliation, Audible acknowledges the Traditional Custodians of country throughout Australia and their connections to land, sea and community. We pay our respect to their elders past and present and extend that respect to all Aboriginal and Torres Strait Islander peoples today.