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クレジットスプレッドが縮小している時期に気を付けること

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クレジットスプレッドが20年以上見られなかった水準にまで縮小しています。企業セクターが健全であることを示唆する現象ですが、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツは、投資家が今後気を付けて見ていく要因が2つあると指摘しています。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、クレジットスプレッドが20数年ぶりの水準に縮小していることをどう解釈すべきなのか、この状況に変化をもたらし得るものは何かという2点について、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツがお話しします。このエピソードは8月22日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。投資家が企業にお金を貸すときに得る利回りは、政府にお金を貸すときの利回りよりも高くなります。この差のことをクレジットスプレッドと言います。そのような差が利回りに生じるのは、リスクが異なると認識されているからです。そして債券投資家は、この差は本来どうあるべきなのかを考え、議論し、取引することに長い時間を費やします。クレジットスプレッドは、当該企業の格付けが引き下げられると拡大します。またその拡大の幅は、満期までの期間が長い債券の方が、短い債券よりも大きくなるのが普通です。投資家がクレジットに投資するのは、国債利回りに上乗せされているクレジットスプレッドの一部をあわよくば手に入れたい、それも、追加リスクをさほど負わずにそうしたいと考えるからです。ところが今日(こんにち)の市場では、このクレジットスプレッドが非常に小さく――相場用語で言えば「タイト」に――なっています。米国では、投資適格の社債を購入しても、年限の同じ米国債よりおよそ約4分の3%、つまり75ベーシスポイント高い利回りしか受け取れないのが実情です。欧州でも、最も安全と言われるドイツ国債と欧州企業の社債との利回りの差は同じくらい小さくなっています。クレジットスプレッドがここまで小さくなるのは、米国では1998年以来、欧州では2007年以来のことです 。では、果たして何が起きたらこの状況は変わると考えられるでしょうか。投資のバリュエーションについて考える1つの方法は、――そして、スプレッドは間違いなくバリュエーションの指標の1つだと言えますが――長期間にわたり持続した前例がひとつも見当たらないくらい極端な水準か否か、という観点があげられます。ただクレジットの場合、この議論は厄介です。スプレッドが今の水準よりの低かった時期は何度かありました。米国では1990年代の半ば、欧州では2000年代の半ばにそれぞれ観察されており、いずれも何年か続いていたのです。それにもっと昔、それこそ1950年代まで振り返ってみると、米国のクレジットスプレッドはさらに低かったようなのです。スプレッドはリスク・プレミアムの指標でもありますが、リスク・プレミアムについて考えるもう一つの方法は、自分が取った超過リスクに見合っているか自問することです。この場合も、スプレッドが非常に小さいため厄介です。社債に投資してもわずか4分の3%つまり75ベーシスポイントの超過リターンしか得られないというのは、時折相場に目を通すだけの人にとっても、このポッドキャストを聞いてくださっている経験豊富な社債投資のプロの方にとっても、何だかスズメの涙のように思われます。しかし弊社が過去のデータを分析したところ、投資適格の社債にそれなりに長い期間投資したときの超過損失、すなわち同じ時期の国債投資による損失を上回る損失は、実はさきほど述べた、4分の3%のおよそ半分であることが分かりました。そしてこの関係は、比較的長い期間続いているのです。それに、スプレッドが過去の基準に照らして非常に小さい時期でも、極端なバリュエーションがすぐに修正...
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