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金が市場で輝きを保つ理由

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金に対する強気見通しと、25年の金相場の上昇が示すインフレ、中央銀行、世界のリスク状況について金属・鉱業コモディティ・ストラテジストのエイミー・ガウアーが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回は金が投資家にとって単なる安全資産にとどまらないことと、金が示す今の世界経済と市場の状況について、弊社金属・鉱業 コモディティ・ストラテジストのエイミー・ガウアーが解説します。このエピソードは9月9日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。金は不確実性の時代の投資先として常に選ばれてきました。ただ、2025年になって金の役割は進化しつつあります。投資家は金をインフレヘッジとしてだけでなく、中央銀行の金融政策から地政学リスクまで含めたあらゆる事柄を測るバロメーターとして捉えています。金相場の変動は、多くの場合、水面下で何か重要なことが起きているサインです。金は年初来で39%、銀は42%とどちらもすでに大幅に上昇しています。この上昇の背景には何があるのでしょうか。いくつかの要因が挙げられます。ひとつは、中央銀行が今年も大量購入を続けていることです。中銀の準備資産に占める金の比率は1996年以来初めて国債を上回りました。これは金の長期的価値に対する強い信認を示します。また、金に連動する上場投資信託(ETF)には8月だけでも50億ドルの資金が流入し、年初来の流入額は2020年を除いて過去最大に達しており、機関投資家の関心の高まりが改めて示されました。多くの主要国で目標値を上回るインフレが続く中、金は収益を生まない資産であるにも関わらず、驚くほど根強い魅力を保っています。そして投資家は中央銀行がまもなく利下げせざるを得ないだろう見ており、そうなれば金相場はさらに上昇する可能性があります。実際、弊社では年末までにさらにおよそ 約5%の上昇を予想し、史上最高値の1オンス3,800ドルに達すると見ています。ただし、考慮すべき重大な点がひとつあります。貴金属、とりわけ金は主にマクロ経済が不透明な時期のヘッジや安全資産とみなされますが、貴金属市場全体を見ると宝飾品がかなりの比率を占めています。金は需要の40%、銀は35%が宝飾品です。そして、宝飾品需要の見通しは現時点では不透明です。実のところ、宝飾品需要はすでに減速の兆しが見えています。第2四半期の金の宝飾品需要は2020年第3四半期以降で最低となりました。金価格が高騰し、消費者が購入を手控えたためです。ただ、それにもかかわらず金は1-4月に上昇した後の水準を保ち、銀は太陽光発電業界の旺盛な需要を受けて上昇し続けました。しかし、金と銀はどちらも最近までさらなる上昇の牽引役が不在でした。ただ、現在はこれが変わりつつあり、金と銀の両方がFRBの利下げから恩恵を受けると見られます。弊社エコノミストはFRBが9月の会合で利下げすると予想しており、利下げは2024年12月以来となります。1990年代を振り返ると、FRBが利下げサイクルを開始して最初の60日間に金は平均6%、銀は平均4%上昇しています。利下げによって収益を生まない資産の競争力が高まるためです。また、弊社の為替ストラテジストはドル安の進行を見込んでおり、したがってドル以外の通貨の保有者にとっては価格圧力が多少和らぐと思われます。インドの金・銀の輸入は7月にすでに改善の兆しが出ています。インドは物品・サービス税改革も予定しており、それによって祭礼・婚礼シーズン前に金銀を購買する余力が増す可能性があります。金はFRBの利下げ後にアウトパフォームする傾向があるため、弊社は引き続き銀よりも金を選好しますが、弊社の見通しは金銀ともに良好です。もちろん、貴金属は無リスクではありません。価格変動があり、もし中央銀行が予想外に利上げすれば、特に金は多少魅力を失う可能性があります。しかし...
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