• 「法律違反ではない」で済ませていいのか?――高市総理の1,000万円カタログギフトが問う政治の品格
    Feb 27 2026
    本日のテーマは「政治とカネ」の新たな火種です。高市早苗総理大臣が、衆議院選挙での当選祝いとして同僚議員315人に総額約1,000万円のカタログギフトを贈ったことが波紋を広げています。宮脇利充さんは、「形式上の合法性」の裏に隠された、三権分立の形骸化や政治資金の本質的な問題を鋭く指摘します。🔶 「政党支部」という隠れみの――石破前総理との決定的な違い今回の問題は、高市総理が代表を務める「自民党奈良県第2選挙区支部」から支出された点にあります。個人から政治家への寄付を禁じる政治資金規正法の網を、組織を介することで回避した形です。宮脇さんは、ちょうど1年前(2025年3月)に石破前総理が「ポケットマネー」から商品券を渡し、謝罪・返却に追い込まれた事例を挙げ、その「差」を読み解きます。🔵 ポイント実態は「個人」の贈り物?: カタログギフトののし紙には「お祝い 高市早苗」と個人名が記されており、支部と本人の一体化が露呈しています。税制優遇の趣旨: 政党支部は、党の主張を国民に広める活動のために税制優遇を受けています。同僚へのお祝いがその趣旨にかなうのか、強い疑問が残ります。🔶 「財布は一つ」――政党交付金19%の重み高市総理は「政党交付金(税金)からは支出していない」と釈明していますが、宮脇さんは収支報告書のデータからその矛盾を指摘します。奈良県第2選挙区支部の収入のうち、政党交付金(国民1人当たり250円が原資)は約19%(3,373万4,800円)を占めています。🔵 ポイントお金に色はついていない: 寄付金が8割を占めるとはいえ、同じ口座で管理されていれば、税金が「贈り物」の一部になっていないと証明するのは困難です。国民感情との乖離: 物価高に苦しむ有権者をよそに、高級グルメやスパ体験が選べるカタログギフトを贈り合う姿は、「誰のための政治資金か」という不信感を募らせます。🔶 失われる「三権分立」の緊張感内閣総理大臣(行政権の長)が、衆議院議員(立法権の構成員)に多額の贈り物をすること。これは単なるマナーの問題ではなく、憲法の精神に関わる事態だと宮脇さんは説きます。🔵 ポイント独立性の担保: 予算審議を控える中での贈り物は、立法府の行政に対する監視機能を鈍らせ、緊張感を損なう恐れがあります。立場の使い分け: 自民党総裁と内閣総理大臣、それぞれの顔を都合よく使い分ける「政治の慣習」に、改めてメスを入れる必要があります。🔶 「政治には金がかかる」の正体裏金問題の際、多くの議員が口にした「政治には金がかかる」という言葉。今回の1,000万円のプレゼントは、その「かかっている金」の行き先を象徴しています。1994年の政党交付金導入時、細川護熙元総理や河野洋平氏が目指した「企業・団体献金の廃止」という理想はいま、完全に形骸化しています。🔶 今日はここを持ち帰る:政治資金を見極める5つの視点「合法」=「妥当」ではない: 法律の穴を突いた支出ではないか、国民の常識に照らして判断します。支出の「名目」と「実態」: 組織名での支出であっても、のし紙の名義のように「誰の手柄」になっているかを確認します。財布の内訳を知る: 政党交付金(私たちの税金)が混ざった資金が、何に使われているかに敏感になります。三権分立の視点: 権力者同士の過度な「ねぎらい」が、公的な監視機能を弱めていないかを注視します。新人議員の志を問う: 研修会で疑問の声すら上がらない現状に、有権者が「それはおかしい」と声を届け続けることが重要です。「カタログギフトでウナギを選ぶ前に、物価高に苦しむ国民の食卓を思い浮かべるべきです」(宮脇利充)🔶 まとめ政治資金は、自らの権力を維持するためではなく、国民のために使われるべきものです。宮脇さんは、高市総理のこの行為を「昭和の中小企業の親父のようなねぎらい」と片付けるのではなく、現代の民主主義における「公私混同」の危うさとして捉え直すべきだと結びました。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)
    Show More Show Less
    13 mins
  • マラソンの「痛み」で見えた、子どもたちの“歩み”
    Feb 20 2026
    ――田中慎一朗校長が振り返る「熊本城マラソン」と教育への想い2026年2月15日、早春の風が吹く中で開催された「熊本城マラソン」。熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長も、一人のランナーとしてスタートラインに立っていました。しかしその裏側には、当日の朝に起きた「まさかの事態」と、リタイアしたからこそ見えた「大切な気づき」がありました。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 スタート直前の「ぎっくり腰」という試練田中校長にとって、マラソンは「大嫌いなのに、なぜか申し込んでしまう」という不思議な挑戦です。今回も万全を期して新調したシューズと共に準備を進めていましたが、大会当日の朝、激痛が彼を襲いました。「歯を磨きながら、体調不良で出た咳にむせてしまったんです。その瞬間、腰に激痛が走りまして……。まさかの場所でのぎっくり腰でした」歩くのもやっとの状態でしたが、田中校長は諦めませんでした。▶ 痛み止めを飲み、少し体が動くようになるまで横になる▶ 「せっかくの権利、スタートラインに立たなければ」という強い想い▶ 自転車で滑り込むようにしてスタート地点へ執念でレースを開始した田中校長は、10キロ、15キロと順調にペースを刻みます。しかし、20キロを過ぎたアクアドーム付近で、腰の痛みと喘息のような症状が重なり、限界を迎えます。🔶 22キロ地点でのリタイア、そこで目にした「走る姿」川尻の町並みを抜け、温かい応援を受けながらも、田中校長は第3関門(約22キロ地点)でリタイアを決断します。「勇気ある断念」でしたが、その場で目にした光景が、教育者としての心に強く響きました。「私の目の前で、関門が閉まってしまったんです。でも、その後ろを走っている人たちがいました。明らかに次の関門には間に合わない、失格が決まっている状況なのに、それでも走るのを止めないんです」▶ 制限時間に間に合わないと分かっていても、歩みを止めない▶ 「最後まで力を出し切りたい」という、目に見えない価値▶ 誰もいない道の先を見つめて走り続ける姿「完走できなかったから意味がない」のではなく、その一歩一歩にこそ価値があるのではないか――。田中校長は、その姿を今の受験生や、悩みの中にいる子どもたちの姿に重ね合わせました。🔶 「つらい」は、人生を前に進めている証拠田中校長は、いま苦しい状況にある子どもたちへ、自身の経験を通したメッセージを送ります。「勉強がつらい、学校に行けなくて苦しい。そう思っている子もいるでしょう。でも、『つらい』『きつい』と感じるのは、あなたが足を前に出している証拠なんです」勉強もマラソンも、止めれば楽になります。▶ 止まれば痛みは消えるが、前には進めない▶ 苦しさを感じていること自体が、人生を前に進めている証明▶ たとえ家の中にいたとしても、葛藤しているならそれは「前進」である「つらさや痛みは、あなたが自分の人生を切り拓こうとしている証拠。だから、その歩みを否定しないでほしいんです」🔶 「伴走者」として子どもたちに寄り添う田中校長は、自分自身がボロボロになって走ったからこそ、改めて「寄り添う」ことの意味を再確認したと語ります。「一緒に走っていると、隣の人の痛みが自分のことのように分かるんです。声には出さなくても、『つらいよね、もうちょっと頑張ろうか』と心の中で会話しているような感覚。教育も同じだと思うんです」学校という現場で、校長として、教師として、どう子どもたちと向き合うべきか。▶ 「あなたの歩みは絶対に間違っていない」と言い続ける▶ きつい状況でも進める力を持っていることを信じる▶ 成功や結果だけでなく、その過程にある「痛みを伴う歩み」に寄り添う「どんなにきつくても、あなたは前に進んでいる。その力があることを忘れないでほしい」リタイアという苦い経験を、子どもたちの未来への力強いエールに変えた田中校長。来年の再挑戦に向けた意欲とともに、教育現場での新たな決意を語るお話でした。
    Show More Show Less
    13 mins
  • ライブ配信ディレクターが振り返る“戦後最短”の衆院選――デジタル時代に再発見した「紙媒体」の価値
    Feb 13 2026
    ――時間と情報をどう積み上げ、未来へつなぐかライブ配信ディレクターの斉場俊之さんが、戦後最短となった今回の衆院選を振り返ります。デジタル戦略の専門家でありながら、斉場さんが今回最も注目したのは、意外にもアナログな「選挙公報」でした。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「生活の基盤」はどこへ? 争点の偏りへの違和感今回の選挙戦、熊本県内(1区〜4区)では自民党が全議席を維持する結果となりました。斉場さんは一有権者として、議論の「中身」に物足りなさを感じたと語ります。「私は常に『地方の公共交通問題』を最大の関心事にしていますが、今回の争点は物価高対策と国のあり方(外交・外国人政策)に終始してしまいました 」地方創生や、暮らしを支えるインフラの議論が置き去りにされたのではないか――。斉場さんは警鐘を鳴らします。▶ インフラの老朽化: 埼玉県八潮市の道路陥没事故のようなリスクへの備え ▶ 深刻な人手不足: 物流や福祉など、現場を支える人々への手当て ▶ 税のあり方: 社会保障財源である消費税を、安易に取り崩す議論だけで良いのか 「今困っている物価高への対策はもちろん必要ですが、将来のためにコツコツ積み上げるべき予算まで削り合っている状況には疑問を感じました 」🔶 超短期決戦が招いた「SNS発信のトーンダウン」ライブ配信のプロとして、各候補者のネット戦略にも注目していた斉場さん。しかし、16日間という超短期決戦の影響は顕著でした。「準備時間が足りず、SNS発信がまばらになったり、Webサイトが更新されない候補者が目立ちました。結局、街頭で名前を連呼する旧来のスタイルが精一杯だったのでしょう」そんな中、ネット戦略で対照的な動きを見せたのが新興勢力です。▶ チームみらい: 初の衆議院議席獲得。着実なネット戦略が成果に結びついた▶ 参政党: 議席を伸ばしたものの、ネット上の熱量に対しては評価が分かれる形に「平等なスタートラインに立ちにくい超短期決戦は、SNSでの深いメッセージ発信を難しくしてしまいました」🔶 「同じ公約」への驚き――選挙公報から見える“個”の欠如斉場さんが今回、最も驚いたと語るのが「選挙公報」です。特に参政党の各区候補者が掲載した内容に、強い違和感を覚えたと言います。「1区から4区までの候補者が、写真とプロフィール以外、全く同じ内容のものを掲載していました 。政党の考えが一致しているのは素晴らしいことですが、地域の実情をどう汲み取るかが抜け落ちています」▶ 地域代表としての言葉: 3区なら3区の、4区なら4区の課題に対する解決策を語るべき▶ アウトプットの力: 限られた紙面で自分をどう出すかは、国会でどう力を発揮できるかに直結する 「『代議士』である以上、政党の考えを自分なりに噛み砕き、地域のためにどう反映させるのかを自分の言葉で見せて欲しかったですね」🔶 フェイクと誹謗中傷の時代だからこそ「紙」が光るITの最前線にいる斉場さんが、最後に強調したのは「紙媒体」の圧倒的な価値でした。「ネットは便利ですが、フェイク動画や誹謗中傷合戦に溢れ、正しさの判断に疲れ果ててしまうのが正直なところです 」それに対し、新聞に折り込まれる選挙公報などの紙媒体には、デジタルにはない3つの強みがあります。不変性: 後から書き換えたり、消したりすることができない 検証可能性: 当選後、掲げた公約を守っているか証拠として残る 信頼の礎: 情報が移ろいやすい時代だからこそ、変わらない情報の「礎」が必要🔶 次の世代へ「正しい選択」を渡すために「日本も熊本も今、大きなうねりの中にいます。だからこそ浮足立つことなく、未来を着実に積み上げていく政治を期待したい。私たち有権者も、一時の感情ではなく残された情報をしっかり見極める力を持つべきです 」デジタルの速さと、アナログの確かさ。その両方を使い分けながら、当選した政治家たちがどう動くのかを監視し続けること。それが、次の世代に誇れる社会を渡すための、私たちの責任だと感じさせるお話でした。出演:ライブ配信ディレクター・斉場俊之さん/聞き手...
    Show More Show Less
    13 mins
  • 2月は“絆と再生”の物語が豊作 上妻祥浩さんが語る注目の新作4本
    Feb 6 2026
    ――大切な人との「別れ」と、その先に見える「光」 映画解説研究者の上妻祥浩さんが、2月公開の注目作を語りました。 今月のテーマは「最期の時間、そして家族の形」。 大ヒット作『おくりびと』を彷彿とさせる感動作から、熊本・天草ロケが光るハリウッド作品まで、心に深く刻まれる4作品が揃いました。 聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 最期の想いをつなぐ「ほどなく、お別れです」 (2月6日公開)公式サイトはこちら👉 https://hodonaku-movie.toho.co.jp/ 浜辺美波さんと目黒蓮さんの豪華ダブル主演で贈る、葬儀の場を舞台にした物語。 亡くなった人の姿が見え、会話ができる特殊な能力を持つヒロインが、目黒さん演じる葬祭プランナーにスカウトされ、インターンとして働き始めます。 ▶ 事故や病で突然訪れる「死」にどう向き合うか ▶ 遺された家族が抱える“隠しごと”や“想い”をどう繋ぐか ▶ 自分自身や大切な人の「最期」を考える前向きなきっかけに 「葬儀というタブー視されがちな場を、寄り添いと再生のドラマとして描いています。特報映像だけでも胸に迫るものがあります」(上妻さん)🔶 天草の美しい光景がスクリーンに「レンタル・ファミリー」 (2月27日公開)公式サイトはこちら👉 https://www.searchlightpictures.jp/movies/rentalfamily 『ザ・ホエール』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザー主演。 日本で暮らす落ち目の米俳優が、家族の代役を演じる「レンタル・ファミリー」の仕事を通じて、自身の孤独と向き合い成長していく物語です。 ▶ 全編日本ロケ。後半は熊本・天草が舞台 ▶ 柄本明さん演じる登場人物の出身地として天草が登場 ▶ 嘘から始まる「思いやりの連鎖」を描くヒューマンドラマ 「熊本ナンバーの軽トラに揺られるブレンダン・フレイザーと柄本明さんという、シュールながらも美しい光景は見逃せません。天草のありのままの自然が実に見事に撮られています」(上妻さん)🔶 江戸の芝居小屋で真実を追う「木挽町のあだ討ち」 (2月27日公開)公式サイトはこちら👉 https://kobikicho-movie.jp/ 直木賞受賞作の待望の映画化。柄本佑さんが、ある仇討ちの真相を探る侍を演じます。(父・柄本明さんの出演作と同日公開という「柄本ファミリー」の共演も見どころです) 。銀座の芝居小屋のそばで起きた、美談とされる「仇討ち」。しかしその裏には……。 ▶ ミステリー小説を読み進めるような、二転三転する鮮やかな展開 ▶ 堤真一さんをはじめとする豪華キャストが彩る江戸の情緒 ▶ 真実が明らかになった後の、爽やかで深い感動 「のらりくらりと話を聞きながら、核心に切り込む佑さんの演技が絶品。見終わった後の余韻が素晴らしい、極上のエンターテインメントです」(上妻さん)🔶 葛藤と愛情のロードムービー「ぼくが生きている、ふたつの世界」 (2月27日 熊本市男女共同参画センターはあもにいにて上映)詳しくはこちら👉 https://harmony-mimoza.org/hall_saiji/hall-other/202601171592 吉沢亮さんが主演を務め、耳の聞こえない両親のもとで育った息子(CODA:コーダ)の葛藤と絆を描きます。 ▶ 音のない世界と、聞こえる世界の間で揺れ動く繊細な心理 ▶ 通訳という役割を超えた、親子としての深い愛情 ▶ 吉沢亮さんの静かながらも熱い演技が光る名作 「家族だからこそぶつかり、分かり合いたいと願う姿に心が震えます。今回の特別上映会は、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたい一作です」(上妻さん)🔶 “いま”を大切に生きるためのメッセージ「今月の4作品に共通しているのは、人と人との『接点』の尊さです。 お葬式、レンタル家族、仇討ちの裏側、そして親子の絆。 形は違えど、誰かを想う気持ちの美しさが描かれています」(上妻さん) 寒い冬、映画館の暗闇の中で、 誰かを大切に想う温かな“ひかり”を受け取ってみてはいかがでしょうか。#浜辺美波 #目黒蓮 #柄本佑 #柄本明 #ブレンダンフレイザー #吉沢亮
    Show More Show Less
    13 mins
  • 名字は誰のもの?「選択的夫婦別姓」から見える国家と個人の距離感
    Jan 30 2026
    本日のテーマは「選択的夫婦別姓」です。衆議院議員選挙では物価高や税制が注目されがちですが、その影で語られるこの問題は、実は「国家が個人の自由をどこまで制約していいのか」という人権の本質を突いています。宮脇利充さんが、各党の公約や世論のデータをもとに、いま私たちが考えるべき視点を整理します。🔶 30年間動かない制度――政治の停滞と「廃案」の現実 1996年に法制審議会が導入を答申してから約30年。選択的夫婦別姓制度はいまだ実現していません。昨年の通常国会では20数年ぶりに審議が行われたものの、各党の思惑が絡み合い、衆議院解散に伴って再び「廃案」となりました。宮脇さんは「これは単なる制度論ではなく、幸福追求権という国民の基本的な権利を国家がどう扱うかという問題だ」と指摘します。🔵 各党の立ち位置(衆院選公約より)導入に前向き: 立憲民主党、公明党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組慎重(通称使用の法制化に留める): 自由民主党、日本維新の会反対: 参政党、日本保守党🔶 世論調査で見える「賛成多数」と「男女の温度差」 複数の世論調査では、いずれも「選択的」な別姓導入を支持する声が過半数、あるいは反対を大きく上回っています。男女共同参画学協会連絡会調査: 67.2%が賛成日本財団「18歳意識調査」: 47.6%が別姓を選べるようにすべきと回答(現状維持は20.5%)連合(日本労働組合総連合会)調査: 46.8%が「選択できる方が良い」と回答注目すべきは、賛成者の多くを女性が占めている点です。現在、結婚時に「夫の姓」に変える夫婦は約95%。宮脇さんは、自身の経験を振り返り「男性側は『当たり前』として名字を変える苦労やキャリアへの支障をリアルに考えてこなかったのではないか」と自省を込めて語ります。🔶 「伝統」か「人権」か――反対論の根拠を問い直す 法務省のホームページにも紹介されている反対意見についても、宮脇さんは冷静に分析します。🔵 ここを深掘りする「日本の伝統」という誤解: 夫婦同姓が義務付けられたのは1898年(明治31年)の明治民法から。歴史的に見ればわずか128年ほどの制度であり、「古来からの伝統」とは言い切れません。「家族の一体感」の行方: 「同姓でなければ一体感が損なわれる」という意見に対し、宮脇さんは「では、世界で唯一、同姓を義務付けている日本以外の国々には、家族の一体感がないのでしょうか」と問いかけます。🔶 世界で「日本だけ」という異常事態 法務省の資料によれば、法的に夫婦同姓を義務付けている国は、現在確認されている限り世界で日本だけです。他の国々では、別姓、同姓、あるいは結合姓など、多様な選択肢が認められています。🔶 今日はここを持ち帰る:1票を投じるための「人権」チェックリスト「選択的」の意味を正しく知る: 同姓がいい夫婦は同姓を選べる。「自由を広げる」制度であり、誰かに強制するものではないことを再確認します。手続きの負担を想像する: 運転免許、パスポート、銀行口座、マイナンバー。名字を変える側の煩雑なコストに想像力を働かせます。キャリアの継続性: 研究者やビジネスの世界で、積み上げた実績(氏名)が途切れることの不利益を「個人の問題」で片付けない。他者の自由を認める: 公共の福祉に反しない限り、個人の生き方は尊重されるべきという「憲法の精神」に立ち返ります。国家の姿勢を見る: 個人のアイデンティティである「名前」を国家がどう捉えているか。その姿勢は他の表現の自由や思想信条の自由への態度とも直結しています。「自分の中にある当たり前(思い込み)を疑い、他者の生きづらさに耳を傾ける。そこから社会の多様性が始まります」(宮脇利充)🔶 まとめ 「物価高だから、不景気だから、人権問題は後回しでいい」のか。宮脇さんは、この問題への態度こそが、その政党や候補者が「個人の尊厳」をどれだけ重んじているかのリトマス試験紙になると語ります。 明治以来の制度を思考停止で守るのか、それとも現代の生き方に合わせてアップデートするのか。次の一票を投じる前に、自分自身の「...
    Show More Show Less
    13 mins
  • 正義のつもりの“袋叩き”が、社会を後退させる
    Jan 23 2026
    ――田中慎一朗校長が語る、SNS動画拡散と「プロセスの保障」年末年始、SNS上で中高生による暴力動画が相次いで拡散され、大きな波紋を呼びました。 激しい非難、投稿者の特定、住所のさらけ出し――。 「悪いことをしたのだから当然だ」という世論が渦巻く中、熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、 「その『正義』のあり方が、実はさらなる悲劇を生んでいないか」と静かに問いかけます。 聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「事実(Fact)」は一つ、「真実(Truth)」は人の数だけある 事件が起きると、私たちは映し出された映像だけを見て、すべてを分かったつもりになりがちです。しかし田中校長は、物事には二つの側面があると言います。「警察が調べるのは、いつ、どこで、誰が何をしたかという『事実』です。 しかし、その背景にある文脈やストーリーといった『真実』は、そこにいた人の数だけ存在します」映像に映っていない場所で、何が起きていたのか。 ▶ なぜその行為に至ったのかという背景 ▶ その場にいた他の子たちは何を思っていたのか ▶ 映像を拡散させた側の意図は何だったのか「目に見える断片だけで『徹底的に懲らしめろ』と袋叩きにすることは、果たして正義なのか。その攻撃自体が、また別の暴力になってはいないでしょうか」🔶 「手続き保障」こそが、私たちが安心して生きるための砦 田中校長が強調するのは、未成年であっても「法的な手続き」を正しく経ることの重要性です。「やったことに対しては、司法の場で、未成年であれば少年法などの手続きに基づき、きちんとした処遇が決定されるべきです。それが法治国家のルールです」SNSによる私刑(個人の特定や個人情報の晒し)は、この「手続き」を無視した行為です。 ▶ 一方的な決めつけは、弁明や事実確認の機会を奪う ▶ 晒された側が世の中に恨みを持ち、根本的な解決から遠ざかる ▶ 「ばれないようにやる」という、より陰湿な思考を植え付ける「『手続き保障』があるからこそ、私たちは安心して生きていけます。 それを無視して誰かを攻撃することは、回り回って自分たちの首を絞め、世の中を不安定にしていくことにつながるんです」🔶 心理学「プロセスワーク」から見る、役割(ロール)の入れ替わり 田中校長は今、大学で「紛争解決学」を学ぶ中で、心理学者アーノルド・ミンデルが提唱した「プロセスワーク」という考え方に注目しています。 そこで語られるのは、「加害者」や「被害者」という役割(ロール)は、固定されたものではないということです。「いじめている子が、別の場所では誰かにいじめられているかもしれない。 家庭での虐待や、社会からの抑圧に苦しんでいるかもしれない。 そう考えると、動画で加害者に見える子も、ある側面では『社会からいじめられている被害者』の役割を担っていることがあるんです」役割はぐるぐると動き回ります。 ▶ 加害者が、SNSのバッシングによって過剰な被害者になる ▶ 正義を振りかざす視聴者が、無自覚に加害者へと転じる ▶ この連鎖が続く限り、問題の根本は解決せず、悲劇は繰り返される「その子個人の問題として切り捨て、『自分の側には問題がない』と断定してしまうのは非常に危険です」🔶 「犯人探し」ではなく「構造」に目を向ける 事件が起きるたびに、「家庭教育が悪い」「学校は何をしていた」と、誰かを責めることで決着をつけようとする風潮があります。 しかし、田中校長は「誰かに問題を落とし込む(押し付ける)こと」をやめるべきだと訴えます。「なぜ子どもたちが動画を拡散させてしまうのか。なぜ暴力を止めることができなかったのか。 その『構造』そのものに、みんなで関心を持つべきなんです」▶ 特定の個人を責めて終わらせない ▶ 「モヤモヤ」をみんなで抱えながら、解決の姿勢を探る ▶ 大人が自分の襟を正し、子どもにどんな社会を見せるべきか考える「子どもは大人の背中を見ています。 大人がSNSで誰かを袋叩きにする姿を見せながら、子どもに『暴力を振るうな』『いじめをするな』と言っても、説得力はありません」教育の現場...
    Show More Show Less
    13 mins
  • 2026年は公共交通強化元年!? さいばの公共交通アップデート
    Jan 16 2026
    「2026年は公共交通強化元年!?」をテーマに、ライブ配信ディレクターの斉場俊之さんが、熊本の交通政策に起きている“ギアチェンジ”を読み解きました。聞き手は江上浩子(RKK)です。斉場さんが注目したのは、年末の報道番組インタビューで、熊本市長と熊本県知事が公共交通を最前面に置き、しかも呼吸を合わせるように語ったこと。交通は市の境界線だけでは解けない課題だからこそ、県と市が同じ方向を向く意味は大きい——そんな問題意識から話が始まりました。🔶なぜ今「公共交通強化元年」なのか年末年始は、政治リーダーが「今年の抱負」を語る季節です。斉場さんは、その抱負の中で**“公共交通”が真っ先に出てきた**点を重く見ます。▶ 熊本市長が「公共交通を、県知事と徹底的にやりたい」と明言▶ 県知事が翌日、「2026年を強化元年に」と受けて返した斉場さんの見立てはこうです。交通渋滞や移動の課題は、熊本市だけで完結しません。周辺自治体や県全体、そして交通事業者と一緒に動かないと、血流(=移動)が滞ったままになる。だからこそ、県と市が“同じ言葉”で踏み込んだことが、合図として強い。🔶注目ポイント:県と市が「言い切った」ことのインパクト政治の言葉は、ときに曖昧になりがちです。ところが今回は、斉場さんいわく「どちらにも取れる話」ではなく、方向性をはっきり言い切った。▶ 「徹底的にやる」=“市だけではなく県と組む”前提の宣言▶ 「強化元年」=県民に向けた、年単位の旗印ここで生まれるのは期待だけではありません。期限や旗を立てた以上、市民・県民のチェックの目も厳しくなる。実行できなければ反動も大きい——斉場さんは、そこまで含めて「緊張感がある」と見ています。🔶熊本市の新提案「運輸連合」とは何か斉場さんが「さらにギアチェンジを感じた」と語ったのが、熊本市議会の特別委員会で示されたという「運輸連合」の提案です。 ポイントは、交通を「民間任せ」だけにしない発想。▶ 路線や本数、運賃などを、行政と事業者が協議し一体的に運営する▶ “採算が苦しいから減便・値上げ”の連鎖を、地域全体の設計で止める▶ 必要な移動を「公共サービス」として、持続可能な形に組み直す斉場さんが評価したのは、提案そのものに加えて、資料に「これまでの取り組みの限界」や「根本解決ができていない」ことを明記していた点です。まず現状を認め、そのうえで仕組みを変える——ここに、これまでと違う手触りがある、と。 🔶市電は「期限つきメニュー」へ:三連接車・増便・信用乗車交通の“目に見える変化”として語られたのが市電です。斉場さんが挙げた具体策は次の通り。▶ 三連接車の増備(長い車両を増やす)▶ 増便▶ 信用乗車(乗降の仕組みを見直す)▶ しかも「今年度末までに対策を整理」と期限を区切る 20260112104354-0001「いつか頑張ります」ではなく、「いつまでに何を」が見えてきた。これが、2026年を“元年”と呼ぶ空気を支えている——という整理です。🔶期待と注意点:期限を切った改革の光と影斉場さんの話を、賛否両面で並べるとこうなります。利点▶ 期限があると、議論が「実行計画」に落ちる▶ 市民・県民が検証しやすくなる(説明責任が立つ)▶ 交通は複数主体の課題なので、トップの意思が“連携の接着剤”になる欠点▶ 期限だけ先行すると、現場の負担が増えやすい▶ 目標未達のとき、行政不信が強まる▶ 交通は運転手不足・コスト増など外的要因も大きく、調整の難度が高いだからこそ、斉場さんは「期待して見守る」だけでなく、市民側も提案して関わることを呼びかけます。🔶私たちにできること:「主権者の交通」にする交通は“誰かが用意してくれるもの”であると同時に、暮らしの設計図でもあります。▶ 「こうしてほしい」を、言葉にして届ける(意見募集・パブコメ等)▶ 使える区間は公共交通を“実際に使う”(需要が可視化される)▶ 自分の移動も見直す(時間をずらす、乗り換えを試す、選択肢を増やす)血流を良くするには、心臓(行政)だけでなく、体全体(利用者)も一緒に動く必要...
    Show More Show Less
    13 mins
  • 家族の嘘と戦場の95分、そして“禁断”の青春~上妻祥浩さんが語る注目の新作3本
    Jan 9 2026
    今月公開の映画から、聞き手の江上浩子(RKK)が、ゲストの上妻祥浩さんに「これはぜひ」と推された3本を、放送の空気感は残しつつ、読み物として整理しました。テーマはばらばらなのに、どれも“人が自分を守るために選ぶ行動”が、ちゃんと痛くて、ちゃんと愛おしい。そんなラインでつながっていました。🔶『架空の犬と嘘をつく猫』|1月9日(金)公開まず上妻さんが挙げたのは、日本映画『架空の犬と嘘をつく猫』。タイトルだけで、もう少し胸がざわつきます。犬は“架空”、猫は“嘘をつく”。つまりこの映画、最初から「現実の置き場所」がぐらりと揺れている。物語の核にあるのは、家族が互いを傷つけないためにつく“やさしい嘘”です。けれど、やさしさは時に、嘘の免罪符にもなる。上妻さんが語ったのは、そうした嘘が積み重なっていく30年の時間です。少年だった主人公が大人になり、家族の中で「守るための嘘」と「嘘が生むひずみ」がせめぎ合い続ける。ポイントは、嘘が単なる悪役ではないところ。嘘は人を苦しめもするし、同時に“生き延びるための仮設住宅”にもなる。だからこそ観る側も簡単に断罪できず、むしろ「家族って何だろう」「絆って何だろう」と問いが戻ってくる。嘘って、ちいさくても30年分ためると、だいぶ重い。雪だるまどころか雪崩です。原作は寺地はるなさんの同名小説で、映画は佐賀県(さがけん)の風景の中で撮影されたことも触れられました。主演は高杉真宙さん。共演に伊藤万理華さん、深川麻衣さん、安藤裕子さん、向里祐香さん、安田顕さん、余貴美子さん、柄本明さんらが並び、家族という“逃げられない舞台”を、世代ごとの手触りで支えます。公式サイト:https://usoneko-movie.com/公開日:1月9日(金)🔶2本目:『ウォーフェア 戦地最前線』|1月16日(金)公開2本目は一転して、アメリカ映画『ウォーフェア 戦地最前線』。上妻さんの紹介は明快で、「戦場のど真ん中に、観客を閉じ込めるタイプ」です。共同監督・脚本はアレックス・ガーランドと、米軍特殊部隊出身のレイ・メンドーサ。設定は2006年のイラク、危険地帯ラマディ。特殊部隊の小隊が監視と狙撃の任務で建物に潜伏し、やがて包囲され、逃げ道のない状況に追い込まれる。上妻さんが強調していたのは「過剰に盛らないのに、容赦もしない」という質感でした。序盤は何も起きない“待ち”が続き、その空白が逆に緊迫を増幅する。そして戦闘が始まった瞬間、映画は観客の呼吸まで奪いにくる。現場は混乱し、負傷者が出て、判断は遅れ、パニックが伝染する。映画的に気持ちよく整理されないまま、ただ「戦場はこういう場所だ」と突きつけてくる。この作品は、観終わったあとに軽い感想が出にくいと思います。けれど、上妻さんが言うように、だからこそ“重く受けとめる”価値がある。戦争を「遠い映像」から「近すぎる体験」に引き寄せることで、私たちの想像力の怠け癖を、容赦なく叩き起こします。公式サイト:https://a24jp.com/films/warfare/公開日:1月16日(金)🔶『万事快調〈オール・グリーンズ〉』|1月16日(金)公開3本目は日本映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』。上妻さんの言葉を借りれば、「とんでもない設定なのに、ちゃんと青春映画として成立して、見終わると妙に清々しい」。舞台は田舎町。鬱屈を抱えた女子高校生たちが、現状を抜け出すために“一攫千金”を狙う。そして同好会「オール・グリーンズ」を結成し、学校の屋上で「禁断の課外活動」を始める——公式サイトも、その一線の危うさを隠さずに提示しています。ここで大事なのは、彼女たちが最初から“悪い子”として描かれるわけではない点です。むしろ「どこにも行けない」「変えたいのに変えられない」という閉塞感が先にある。上妻さんが話していたのも、笑いとハラハラが同居しつつ、最後は観る側の心の奥に「わかる、わかるんだよ」と残る感触でした。キャストは、朴秀美役に南沙良さん、矢口美流紅役に出口夏希さんのW主演。岩隈真子役は吉田美月喜さん。公式サイト:https://www.culture-pub.jp/allgreens/公開日:1月16日(金)
    Show More Show Less
    13 mins