S 1-E9:【特集・ジャン=リュック・ゴダール④】ジャン=リュック・ゴダール監督『小さな兵隊』~新しい戦前とかつての戦後を巡る批評と闘争~ cover art

S 1-E9:【特集・ジャン=リュック・ゴダール④】ジャン=リュック・ゴダール監督『小さな兵隊』~新しい戦前とかつての戦後を巡る批評と闘争~

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今回のエピソードの収録は、「エピソードの8.5」と同日の2023年8月30日。オープニング用に長めに雑談を収録した手前、今回はいきなり本編から始まります。


今回取り上げる「小さな兵隊」に関しては、なかなか取り上げられる機会の少ない作品だと思います。デビュー作「勝手にしやがれ」で時代の寵児となったゴダールの華々しさから比べると、きっと「佳作」としてひっそり位置付けられている気もしますが、個人的にも、トーク本編でも語られている通り、まず「娯楽映画」としての面白さがまず際立っています。

この佳作、といった風合いは、トークの本編では言及し損ねましたが、作家・村上龍の「限りなく透明に近いブルー」からの2作目「海の向こうで戦争がはじまる」とも呼応するかのような、つまりは村上龍はその辺りを意図して作品を発表したというような、文化的影響がやはり当時のゴダールにはあったことを細やかに示すものだと思います。

いわゆる「実録スパイ映画」のテイストに、本特集の肝ともなる「ゴダールのお家芸」となるメタ的な「男女の恋愛」もより「実録感」のある生々しさが同居している作品になっていて大変興味深いところです。それは、なんと言ってもアンナ・カリーナとの出会いに尽きるものです。


ゴダール作品を語る上で、政治という題材は欠かすことができないですし、2作目にしていきなり「政治闘争としての映画」という今後の創作姿勢を伺わせるような、実は重要な作品でありつつ、まるでそれを邪魔するかのような、恋に没頭し、公私混同して行くゴダールの「可愛さ」こそが、ゴダール映画をエンターテイメントとして楽しむ鍵だと思うのですが、トーク中でも、その表層の部分で「どう語って良いものか」に四苦八苦する様が僕らにも如実に出ています。

それが終盤になり、本作を「楽しく語ろう」と一転する展開に変わっていく辺り、というのがこのエピソードの録れ高として狂喜する瞬間でした。

そういった「ナマモノ」としてのトークを楽しんで頂ければ幸いです。(教授)


CAST/ 教授、村上、ちょり

STAFF/  DIRECTOR & EDITER:Prof M

THUMBNAIL DESIGN:Prof M

ILLUSTRATION:CHORI SOUND STICKER:Prof M

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cinemadecanard@gmail.com

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