第39回は、ロボット学者の石黒浩さんに聞く 大阪・関西万博で伝えた「アバター、ロボットの未来」 cover art

第39回は、ロボット学者の石黒浩さんに聞く 大阪・関西万博で伝えた「アバター、ロボットの未来」

第39回は、ロボット学者の石黒浩さんに聞く 大阪・関西万博で伝えた「アバター、ロボットの未来」

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 今回のゲストは、ロボット学者の石黒浩(いしぐろ・ひろし)さん.。 石黒さんは大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの未来」のプロデューサーを務めた。万博で伝えたかったこと、今後50年間にアバターやロボットがどんな形で社会に根づいていくのかを聞く。 大阪・関西万博、2025年4月13日に開幕。10月13日に閉幕する。万博への来場者数はすでに2000万人を超えた。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現する8つのシグネチャーパビリオンの中の一つ「いのちの未来」をプロデュースした石黒さんは「会期末になって、もうほとんど、万博会場に入れないぐらいに予約が入っていて、すごく盛り上がっています。大成功だったのではないでしょうか」と話す。「自分たちがいいものを作れれば、ちゃんと人が来てくれると信じて準備してきました」。 今、ChatGPTなどを相談相手としても使っている人が増えている。アバターやAIが、私たちの生活を相当変えるのではないかと予想される中、今後、どんなメタバース、アバターの組み合わせが私たちを楽しませてくれるのだろうか。 この質問に対し、石黒さんは、「私たちが作っているアバターは、実世界で使えるアバターなんです。一応CGのキャラクターがメインですけれども、そのCGのキャラクターをメタバースとか仮想空間で使うんじゃなくて、モニターに映し出して実際の店舗で使うとか、パソコンのECサイトに映し出して、実際パソコンで何かものを買うときのサポートに使う。実世界で働くために使うアバターというのが我々の目指しているところなんです」と、あくまでビジネスで使えるアバターの開発を目指していると語る。「ゲームの中のプレーヤーの人が仮想空間やメタバースでアバターを使って働く、お金を稼ぐっていうことはまだできていない。もう少し時間かかるかなと思います。メタバースは特に性能のいいコンピューターや没入感が得られるヘッドマウンテッドディスプレイとかがないとなかなか使いづらいわけです。それに加えて通信の問題があります。一度に何人が同じ空間に入れるかというと、まだまだ人数が限られているわけですね。もう少しインフラやPCの性能が向上しないと、自由にメタバースで遊ぶことはできないし、その先にビジネスが起こるというのはもっと先かなというふうに思います」とメタバースは技術的な制約がネックになっていることを明らかにする。 しかし、それ以上に「現在の社会を変革するためにアバターを使うとことが大事」と石黒さんは強調する。「特に日本ではこれから、どんどんと人口が減って、その人口が減っていくのをどういう技術で支えればいいかが課題になっている。そう考えた時に、決め手になるのはAIやロボットやアバターだと思うんですね。アバターを使えば通勤しなくても瞬時に働けるようになります。家の中で仕事や、やることがあって家を離れられない人も、ちょっと空いた時間ですぐに働けるようになりますし、そもそも東京とかだと、多分1日2時間から3時間通勤に費やしている人が多いと思うんですけれども、その時間全て働けるようになれば、すごく生産性が上がるわけですよね。さらには外国の人がアバターを使って日本で働いてくれるようになると、労働市場を国際化することができて、本当に世界を変えることができると思います」。 ブレインマシンインターフェイスのようなものが実用化すれば、コントローラーを使わなくても、自分の体で動けるようになる。そうすると、身障者や高齢者は実際にはあまり動けないのにメタバースでは自由に動き回れるようになる。こうした動きは、現実の世界で始まっている。  「例えば、私が経営しているAVITAというコンピューターグラフィックスのアバターを提供している会社があるんですけれども、そのAVITAの製品では、例えばローソンの自動化レジの横でアバターを表示して、お客さんに何か分からないことがあればアバターに聞けるというようなサービスを提供しているんですよね。そのアバターのオペレーターとして働いている人は、例えば...
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