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110 共感と納得で結論が届くストーリーテリング

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私たちがクライアント企業からトレーニングのご相談を受ける際に、よく話題にのぼる課題の一つが、「同僚・上司・部下など、社内の関係者に対して説得力をもって話すにはどうすればいいのか?」というテーマです。 自分のアイデアや提案にしっかりと共感や賛同を得たいと思うのは、ごく自然なことです。にもかかわらず、なかなか納得してもらえないという経験をしたことがある方も多いでしょう。その要因の多くは、話の「伝え方」や「切り出し方」にあります。 現代のビジネス環境はスピード感に満ちており、人々の集中力もより短くなっていると言われています。そんななか、聴き手は最初から「結論」や「要点」を求めてくることが増えています。たとえば、プレゼンの最中に上司から「で、要するに?」と聞かれた経験のある方もいらっしゃるかもしれません。 ビジネス文書では「結論から書く」ことが有効であり、冒頭にエグゼクティブ・サマリーを入れるのが一般的です。 しかし、聴き手から共感を得たいときや、納得して行動してもらいたいときのプレゼンや会話では、 結論から先に伝えてしまうと、かえって相手の理解や納得を得にくくなることがあります。 結論だけでは、聴き手の心は動かないのです。 たとえば、「マーケティング予算を30%増やし、キャンペーンを実施しましょう」と伝えたとします。内容としては非常に価値のある提案かもしれません。しかし、前提や背景が語られないまま突然結論を伝えると、相手は「なぜ?」という疑問を感じ、納得よりも疑念が先に立ってしまうこともあります。 これは決して聞き手が否定的なのではなく、まだ十分な理解に至っていないだけのこと。大切なのは、「どのようにその結論に至ったのか」というプロセスを、相手と共有することです。つまり、聴き手の頭の中に「舞台・ステージ」を整えることから始めるのです。 人気お笑い芸人がオチから話し始めないように、説得力ある話し手は、結論に至るまでの背景や文脈を丁寧に描きます。登場人物、場所、時間の流れ、そしてデータや事実を組み合わせることで、聞き手は自然とその話の世界に引き込まれていきます。 このように話の舞台が整ったうえで結論が提示されれば、それは単なる意見ではなく、「聞き手自身がすでに予想していた答え」として受け取られることになります。こうした状態がつくれれば、反論ではなく共感や納得が引き出されるのです。 もちろん、話が長すぎると本末転倒です。ビジネスの場ではテンポも重要。ストーリーテリングは短編小説のように、簡潔かつ要点を押さえた構成が求められます。聞き手がスムーズに理解できるよう、話の流れを丁寧に整理することが大切です。 ポイントは、「結論を導き出すための文脈を、自然に、かつ的確に提示すること」。この構成ができれば、相手は自分自身で結論や答えにたどり着いたかのように感じ、提案への同意はぐっと得やすくなります。 では、実際にどのようにストーリーを構成すればよいのでしょうか。 まず最初に、「聴き手にとってもらいたい行動」を頭の中で明確にします。そして、その行動を勧めるに至った「理由」や「背景」を深掘りしていきます。 それはいつ、どこで起きたことなのかどのような人物が登場するのかどんな出来事や観察があったのかどのようなデータや根拠があるのか これらを、相手の目に浮かぶように言語化していきます。 そして、実際に話す際は、「聴き手に取ってもらいたい行動」から話すのではなく、背景と出来事から話します。 人は物語が大好きです。昔むかしあるところに。。。とはじまるあの子供のころから慣れ親しんだ物語のように、それが起こった時と場所を描き、登場人物を紹介し、何が起こったのかを語る。そうすれば、聴き手はまるでその場にいたかのように、私達の話を追体験できるようになります。 そして、クロージングについてです。 人は、最後に聞いたことを最も記憶に残しやすいものです。そのため、話の最後にはもう一度要点を明確に伝えましょう。 結論はシンプルに、「聴...
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