クレジット・サイクルは過熱しているのか? cover art

クレジット・サイクルは過熱しているのか?

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2026年にはクレジット・サイクルが燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるかもしれない――そう考えられる理由を、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者の アンドリュー・シーツがご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者の アンドリュー・シーツが、2026年のグローバル・クレジット市場の見通しについてお話しします。、クレジット・サイクルが燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるかもしれないと弊社が考える理由をご説明します。このエピソードは12月12日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。まさかこんな状況が続くはずはない――2026年のプランを練っているグローバル・クレジット投資家の多くは、おそらくそうつぶやいているでしょう。米国とアジアでは、クレジット・スプレッドが25年以上前に見られた水準にまで縮小しています。社債の発行はますます活発になっており、企業の設備投資も急増しています。格付けが最も低い社債の市場では、プレッシャーの兆候がはっきりうかがえます。そして、クレジット投資家は心配するように教育されています。こうしたことはすべて、いやこれ以外の現象も、クレジット・サイクルが自らの重みに耐えられなくなりひび割れし始めている兆候なのではないか、というわけです。まだそこまでは達していない、というのが弊社モルガン・スタンレーの見方です。弊社はむしろ、2026年にはクレジット市場が燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるだろうと考えています。その理由の一部は、異例なほど景気刺激的な環境に求められます。まず、中央銀行が金利を引き下げています。政府は支出を増やしており、規制も緩和されつつあります。おまけに、人工知能(AI)関連の投資サイクルは一世代に一度あるかないかの巨大な投資サイクルかもしれません。こうしたことが相まって、リスクを取ることができる企業セクターはさらにリスクを取りにいく公算が大きいと思われるのです。そのため、来年のクレジット投資の方針は2005年や1997-1998年のそれによく似たものになるだろうと弊社ではみています。どちらの時期も設備投資、企業買収活動、金利、そして失業率という4種類の指標の水準が、弊社の来年の予想値にかなり近いのです。そして2026年を展望するにあたっては、これら2つの時期が相反する2つの見方を提示してくれます。2005 年は、低所得の消費者が本当に苦労し始めているものの、すなわち、当時は中国でしたが、今日ではAI投資がそれにあたるかもしれませんが、別の力が作用して市場全体は好調を維持しているという時期に近いのかもしれません。一方、1997年や1998年は、新しいテクノロジーは本当に世界を変えていくと投資家が確信を強めている時期に近いと言えるでしょう。当時の新しいテクノロジーはインターネットでしたが、今日のそれはAIです。この状況が変わっていくうえで重要になるのは社債の発行状況だろう、と弊社では考えています。これは各地域にとって大きなテーマであり、米国、欧州、そしてアジアのクレジット市場全体に対する弊社見解の重要なポイントのひとつでもあります。来年の米国市場における投資適格社債の純発行額は2025年に比べて60%以上多くなり、計1兆ドル前後に達すると弊社では予想しています。この発行額増加の原動力は、設備投資と企業買収が幅広いセクターで増えることに加えて、テクノロジー企業によるAIへの投資が増え続けることにあります。これらの社債がすべて市場で売りに出されれば、それに応じて米国のスプレッドは拡大せざるをえなくなるでしょう。高利回りのおかげで社債購入需要が非常に旺盛な場合でも、そして景気が最終的に持ちこたえる場合でも、スプレッドは拡大するのです。欧州やアジアの投資適格社債、そして...
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