
カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記
(幻冬舎)
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Narrated by:
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古舘 佑太郎
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By:
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古舘 佑太郎
About this listen
10代の頃からミュージシャンを生業としてきた古舘佑太郎は、32歳でバンドを解散。自分自身も未来も見えなくなるなか、先輩のサカナクション・山口一郎に「カトマンズに行け!」と命じられる。そして追い出されるようにアジア放浪へ。
潔癖症かつせっかちで、そもそも旅が嫌い。バックパッカーなんてあり得ない。人生初めての過呼吸、27時間の越境バス、ゴキブリまみれの夜行列車、売人とボートレース、山岳地帯でバイク事故、潔癖症のガンジス川沐浴……。トラブルだらけの一人旅、日記を綴るうちに見つかったのは、思いもよらぬ己の姿だった。
〈あとがき〉山口一郎(サカナクション)
***
「令和の深夜特急か? 猿岩石か? いや、そんなにカッコ良いもんじゃない。ただ彼は見つけた。何を? 永遠を! そう、古舘佑太郎は21世紀のアルチュール・ランボーなのだ!!(褒め過ぎ)」――大根仁(映像ディレクター)
「生まれ直すような旅路。苦難を乗り越えていく姿が眩しくて、人間味あふれる思考の流れが最高でした」――又吉直樹(芸人)「旅に揉まれながら綴る⽂章を読んで、やっぱり本当に才能のあるヤツだと思った。最高だ」――サカナクション・山口一郎(ミュージシャン)
昨年3月から僕はアジア大陸を1人で転がり回った。バンドを解散した僕は、先輩ミュージシャン山口一郎さんに「カトマンズに行け!」と命令され、半ば強制的に日本を追い出されたのである。僕は極端な潔癖症でせっかちでビビり。旅なんて大嫌いだった。そんなひ弱なヤツが、いざバックパッカーになってみると、人生初めての過呼吸に陥ったり、全身蕁麻疹で苦しんだり。何より1人ぼっちの寂しさはどこまでも僕を追い込んだ。いつだって帰りたかった。異国の地から本気で先輩を憎んだ。「どうして僕をこんなところに飛ばしたんだ!」と、事あるごとに愚痴を吐いた。その恨み節は旅を通して次第に変化していく。そして、辿り着いたカトマンズ……。
そんな激闘の日々の中で、毎日欠かさず日記を書くことになる。僕は61日間でノート2冊とボールペン6本を費やした。当時、Instagramに投稿していたのは、そのごく一部。SNSに耐えうる内容と、誰かに読まれても恥ずかしくない心情のみを抜粋していた。実際の日記には、売人とボートレースをした話、ガンジス川沐浴のその後、ぼったくりに軟禁されて買わされた6万円の〇〇、牛を避けてのバイク転倒事故、フランスガールとのラブロマンス……など、他にも書き切れないことばかり。さらに、2ヶ月ぶりに日本へ帰国する機内で書いた最終日のページには、旅だけではなく僕の人生を丸ごと見つめ直すような文章が綴られていた。この日記を誰かに読まれることになるなら、もう少し丁寧に書いておけばよかった。もっとカッコつければよかった、とさえ後悔する。逆に言えば、誰かに読まれることを意識していたら書けなかったことだらけだったとも思う。筆跡には、旅の混乱が鮮明に現れている。寝台バスの揺れはそのまま字として揺れていたし、情緒不安定な日は汗と涙が滲んでいた。油でベタつく夜市のテーブル、月明かりが照らす夜行列車の枕元、騒がしい繁華街のバーカウンター。あらゆる環境で僕のペンは叫ぶように走った。
帰国後に書籍化のお話をいただき、作業を始めた。まずはぐちゃぐちゃな文字を解読し、データに起こし、それから文章を整えて……。日記の空気をそのまま残しつつ、ちゃんと読者が読めるようなモノになるまで半年以上かかった。完成してみると、320ページ12万字を超える作品となった。
旅からちょうど1年が経った今年の3月。このような本という形で、あの旅が帰ってくると思うと感慨深い。
そして何より、お力添えいただいた方たちへ感謝の気持ちでいっぱいだ。と同時に、少しだけ背すじがゾッとしている自分がいるのはなぜだろう?旅はまだ終わっていなかったのか……?
そんな旅嫌いな僕が書いた旅物語を、どうか最後まで読んでいただけたら、と願う
古舘佑太郎
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